はじめての企業買収

さて、前回の投稿で、「会社がつぶれたあげく」「PMが突然いなくなり」「リストラが実施され」「代任PMまでリストラされたでござる」という状況下で、しまいには自分に「3代目」PMのお鉢が回って来てしまい、のろわれているとしか思えない状況になってしまった事を書きましたが、実はもっとかわいそうなのが、そもそもこの中規模業者の製造/販売管理システム開発」案件を発注してしまったお客様でした。

ここまでひどい状況だと、普通は契約破棄するから払った金耳そろえて返せ!となるところが、自分がPM担当になってしまってはじめて挨拶に行ったときには、「貴方もいろいろ大変だろうけど、がんばって」とねぎらいの言葉を頂きました。
お客様側にも、稼働中のオフコンの保守期限が切れ、そのまま運用を継続しようとすると何らかの作業が生じる度に高額な費用がかかるという背に腹を帰られない事情があったようです。

自分がPMを引き継いだ時は、作り直された要件定義書とユースケース図までしかない状態だった為、そこからデータフローや画面/帳票設計を起し、また開発環境は外注し易いVisualBasicに変更の上、コーディングを外部委託する体制で立て直しを進めました。

そして右往左往しながらも、自分のライフメーターも少しずつ回復が進み、何とかテストフェーズにこぎつけようとしていたときに、何と海外本社が同業他社に買収されたというニュースがWebから流れて来たのです。
職場では一切事前連絡等全くなく、突然の事態に社内は騒然とし、急ぎプレスリリースを出すものの「今後の体制等が決まり次第お知らせします」という、裏を返せば「実はこちらとしても今後どうなるかさっぱりわかりません」ということを公表したにすぎませんでした。

結局ニュースが流れてから3ヶ月後に、日本法人も海外同様に会社が統合され、Officeも買収先と同じビルに引っ越す事が確定しました。日本拠点は屋号等残り、今の形態のまま営業を継続するのでは、という噂も流れたのですが、そんな淡い期待も打ち砕かれたのでした。

買収前の会社は、パッケージビジネスがメインであり、日本の代理店にライセンスを卸しながらも、導入先の顧客に対して導入支援やサポートを直接提供する部署もあり、自分もその部署に身を置きながら、残務処理として中規模業者の製造/販売管理システム開発」を担当していましたが、買収先の会社はライセンス販売と代理店のサポートに徹しており、顧客との接点は無い=残務処理が終わった時点で自分の居場所も無くなるという事が容易に想像されました。

前回投稿で書いた、リストラ発動時に会社を去っていった同僚の顔が目に浮かび、再び自分のライフは限りなくゼロに近いところまで削りとられたのでした・・・

自分で思い返しても漫画みたいな展開なのですが、自分の行く先の見通しがつかなくなるという事が、これほどまでに自分のメンタリティにダメージを与えるとは思いもしませんでした。どんなにがんばっても所詮残務処理で、行く末は目に見えていると思ってしまうと、どうしても仕事に身が入らず、酒を飲んでは愚痴りまくりと、どんどんダメ人間になっていく自分を見かねて、よく愚痴を聞いてくれた派遣会社時代の先輩が、声をかけてくれました。
「知り合いの社長が、小さいけどこれからのびそうな会社をやっていて、人を探しているんだけど、話聞いてみる?」

その時の自分は、藁をも掴む思いでその話に乗っかったのでした。

その話を貰ったときには既にオフィスの統合は完了し、担当していたシステム開発も最終段階に入っており、テストとデバッグを繰り返す日々で、自分が直接手を動かさなければならないところがほぼ無い状態まで来ていたこともあり、その後のお客様とのコンタクトと外注のコントロールは営業担当者に引き継ぎ、会社を後にしたのでした。

担当中の案件が完了するまで会社に残るかどうか最後まで悩みましたが、買収騒動がきっかけで、その案件から気持ちが離れてしまっており、また案件が終わったらハイさようならという恐怖感が拭えなかったため、中途で離脱するという選択をしました。
後で、その案件が半年後に何とかカットオーバーしたという話を聞き、多少は罪悪感がまぎれたのでした。

次の投稿では、先輩から紹介された小さい会社のお話を書こうと思います。


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当エントリを含む、就職からアラフォーの現在に至るまでの8回に渡る転職履歴について、「転職履歴」のページにまとめました。
また、これまでの転職履歴で得た経験から、仕事に向かい合う為に必要なテクニックや、メンタリティ・思いを抽出し、「お仕事サバイバル」のページにまとめ直しました。 
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